片瞑り
作・中野浩作
作品紹介
暗い殻の中から一歩も外へ出ず、スマートフォンだけで世界とつながっている引きこもりのカタツムリ・ツムリ。彼女は「箱入り娘のツムツム」として配信を続けている。
そんなツムリの配信をいつも聴いているのが、盲目の黒猫・エド。兄のソウ、ヤマとともに暮らす彼は、ある夜、偶然にもツムリの殻そのものを見つけてしまう。画面越しでしか知らなかった二人は、思いがけず同じ場所で出会うことになる。
外を見ることを怖がるツムリと、外を見ることのできないエド。互いに欠けているものは違うけれど、二人が出会うことで、それぞれの世界は少しずつ広がっていく。
怖いから目を閉じることと、目を開くことができないこと。それでも誰かと一緒なら、ほんの少しだけ外を見られるかもしれない。
一匹のカタツムリと三匹の黒猫をめぐる、小さな出会いの物語。
短編演劇集『イロナシハナイロ』の一篇。

