錆の国
作・中野浩作
作品紹介
とある街に暮らす人々は、みんな傷つきやすい「ガラスのハート」を持っている。
心にヒビが入るたびに涙が流れ、その涙によって街中の道具や建物は錆びついていく。そんな街でただ一人、丈夫なガラスのハートを持つ鍛冶屋・カナリアは、壊れた道具を直し続けていた。
誰かが傷つけば、また涙が流れ、また何かが錆びていく。終わりのない仕事を前に、カナリアはひとつの方法を思いつく。
「みんなの心そのものを、傷つかないように強くすればいい」
弱い心と強い心。誰かを助けることと、誰かのために自分を使い続けること。
錆びた街と一人の鍛冶屋をめぐる、小さな寓話。
舞台・世界観
舞台は、住人すべてが「ガラスのハート」を持つ〈錆の国〉。
ガラスの心は傷つくとヒビが入り、そこから涙が溢れる。その涙によって街の鉄は錆び、包丁や鍋、時計やさまざまな道具が次々と使えなくなっていく。
街で唯一の鍛冶屋・カナリアは、住人から持ち込まれる錆びた道具を毎日のように修理している。彼自身もガラスのハートを持っているが、それは他の人々よりも分厚く、傷ひとつない。
この世界では、心もまた鍛冶の対象になる。ガラスの心を鉄で覆い、叩き、鍛えることで、「傷つかない強い心」を作ることができる。
語り手が観客へ直接語りかけながら進行する、童話のような形式を持った作品。

