1954 おいらは生まれた。 本多猪四郎(ほんだいしろう) 村田武雄と 水爆が、 おいらの、生みの、親である。 あるいは、 終戦日本の焼け野原、 焦土と化した東京と、 癒えぬ核の傷跡が、 おいらを生み出したのかもしれぬ。 生まれはどうあれ叫びをあげる。 高らか鳴るは私のテーマ ♪ 誰もが知りうる私のテーマ ♪ 昭和の頃には宇宙を走り、 平成、幾度もリメイクされて、 令和で海外大絶賛。 モスラといちゃつき、ごますりバードを平伏させ、 金色の三又竜を打ち砕き、でかいゴリラやおいらのバッタモンと戦った。 世界の知りうるおいらはゴジラ。 日本の生んだ大怪獣。 けれど、日本人よ、てめえらは狂ってる。 戦後 10 年でおいらを生み出したのはどういう料簡だ。 高度経済成長に浮かれるのもいいが、せっかく築き上げた銀座の街や国会議事堂を破壊さ せたのはどういうことだ。 こってりとしたヒューマニズム映画でも作ってりゃあよかったのに、どうしておいらを生 み出した。 世界への当てつけか? 核に打ち勝つ意思を持っているという日本の意地を見せたかったのか? それとも敗戦国という汚名を自ら良しとし、意地汚く諸外国様のお世話になるための卑屈 な精神からか? 違う、どれも違う。 そんなプロパガンダではない。 そんな理由でおいらが生み出されていたのなら、おいらはこんなに愛されちゃあいないだ ろう。 おいらは戦った。 いくつもの化け物と戦った。 時にはてめえらの軍隊と共闘した。 そして初代のおいらを殺した博士と同じ名を持つ、 渡辺謙が演じた芹沢博士がその命と引き換えに、核爆弾でもっておいらに復活の力を与え た。 その時やつが発した名言が「さらば、古き友よ」だ。 泣かせるじゃあねえか。 おいらは核で生まれた破壊の申し子だ。 しかし、核そのものじゃあねえ。 原子力に懐疑的な連中もいるだろうが、そんなことを言いたいんじゃねえ。 おいらはただの力だ。 使い方と扱いを違えば自ら身を亡ぼすことになるでけえ力だ。 てめえら日本人はそれを知ってる、それを知る血が流れている。 だから誤らないことを祈っている。破壊を拒む力があると信じている。 てめえらの中にはおいらがいる。 てめえらの中には破壊がある。 てめえらの血の中にはゴジラがいる。 しかし、瓦礫の果てから築き上げた日本の上に立っているてめえらには力がある。 吐き出すのは放射熱線じゃあねえ。 未来を築く力のあるコトバだ。 力強く咆哮を上げろ。 てめえらが、ゴジラだ。
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